miura takahiro
85年東京都生まれ。10年、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でデビュー。近年の出演作に『キッズ・リターン 再会の時』『永遠の0』『許されざる者』『私の男』『太陽の坐る場所』など。現在、『繕い裁つ人』『リトルフォレスト 冬・春』が公開中。公開待機作に『マンガ肉と僕』『種まく旅人~くにうみの郷~』『進撃の巨人』などがある。


日本の映画が好きですし、
日本語が好きだから邦画をやっている

NPO法人「侍学園スクオーラ・今人」理事長・長岡秀貴の自伝小説をもとにした映画『サムライフ』。ある高校教師が学校をやめ、仲間とともに誰もが「自分らしくいられる学校」の設立に奔走する物語だ。今作で主人公・ナガオカを演じたのが、出演作の増加が著しい三浦貴大。彼は撮影前にモデルとなった長岡本人と会い、役をつくっていった。


「お会いして1日目で好きになりました」
三浦は自分が演じたナガオカのモデル、長岡秀貴と初めて会ったときの印象をそう語る。
「お話をしていて面白いし、幅広い知識や経験を持っている。しかも、人のことを絶対に悪く言わない。話している相手をよく見ているんです」
演じる際にはそのとき目の当たりにした仕草や立ち方をマネしていった。だが、三浦が難しいと感じた部分は、長岡を面白く見せることではなく、本人の魅力そのものを見せることだった。
「オリジナルが面白すぎるんです(笑)。いろんな方が周囲に勝手に集まってきて、自然とチームが出来上がっている。その人々をひきつける魅力は言葉では説明出来ないものなんです。この人を的確に表現するべきだと思いました」
 そうして出来上がったナガオカ像は、人一倍の行動力や情熱を持ちながら、いわゆる「ザ・熱血教師」とは違うひょうひょうさを持った独特のキャラクターとなった。だが、三浦は同時にナガオカのシリアスな面も強調していった。
「心に傷を持った子供たちと関わっていく場面では、ナガオカの奥にあるメンタルの部分を出したかった。チームのメンバーといるときは明るく、おちゃらけているけど、『本来はこういう人なんだ』と別の一面もわかるシーンなので。明るい部分と真剣な部分のコントラストは出していきたいと思っていました」
 劇中には映画として脚色された部分もある。だが、監督は長岡本人と交流し、その人間性を深く理解していった。
「実際の長岡先生はいきなり子供の部屋に入ることは絶対にしないそうなんです。そこは映画のウソです。でも、森谷(雄)監督は長岡先生と7、8年もずっとこの映画の話を練っていて、『長岡先生だったらこうするだろ』というところまで理解出来ていた。僕自身も、長岡先生に『このときはどうだったんですか?』と直接聞けたので、それを自分の中に落とし込んで芝居をするだけでした」
 完成した映画を見た長岡秀貴は「うらやましかった」と感想を語ったという。
「いまは戻れない、5人で学校をつくった状況を観て、自分もそこにいたかった気持ちもあったみたいです。学校をつくったことが映画になって、本当にうれしいとおっしゃっていましたね」
 今後も俳優としてさらに活躍が期待される三浦。だが、野心はないらしい。
「本当にないんです(笑)。長く続けられたらいいなというのが、まずあるし。仕事しないと家賃が払えないし……(笑)。ハリウッドに行こうとかもないし。日本の映画が好きですし、日本語が好きだから邦画をやっているわけで。いまある仕事を必死にやって、次の仕事につなげていければと思います。あとは芝居がうまくなったらいいですね(笑)」
[styling]涌井宏美 [hair&make]Ken(Rim)



サムライフ
監督/森谷雄 出演/三浦貴大 松岡茉優 加治将樹 柾木玲弥 山本涼介 ほか 配給/ビターズ・エンド(15/日本/118min)
2/7~TOHOシネマズ上田ほか長野先行公開、2/28~ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
©2015『サムライフ』製作委員会