芸人、かく語りき
vol.31 ウエストランド 前編

104号「芸人、かく語りき 」に登場いただいたのはウエストランド。憎まれ口をまくしたてる井口浩之さんと、それを聞き流す河本太さん、という芸風で知られていますが、ここでは……。

   
   

westland
08年結成。YouTube Liveで[ウエストランドのぶちラジ!]を放送中(月曜20時〜)。
iguchi hiroyuki(左)
83年岡山県生まれ。[ぶちラジ!]のスピンオフ[ぐちラジ!]をYouTubeにアップ。
komoto futoshi(右)
84年岡山県生まれ。キャンプを愛好。
所属事務所タイタンのHP

唯一の能力は、いい相方に出会えた「運」

ウエストランド


──いちばん仲のいい芸人さんはどなたですか?
井口 僕は三四郎の小宮さんですね。お互い賞レースにも引っかからない、テレビにも全く出ていない頃からずっと遊んでいました。ライブでも、ふたりして騒ぎすぎて先輩からよく怒られてたんです。でも、それがひとりじゃなかったから、よかった。小宮さんが「いや、俺らはこれで絶対に正しいんだ」と言い続けていて、頑張ってこられたので。
河本 いい関係ですねえ。
井口 結果、いま小宮さんが売れているから、ずっと言っていたことは本当に合ってたんだなって思ってます。小宮さんが、「早くウエストランドも売れて、一緒にテレビに出たい。いまテレビに出ていてもひとりじゃつまんないから早く来てくれ」って言ってくれるから、いますぐにでも追いつきたいんです。
河本 うまいもので、僕は三四郎の相田さんとよく一緒にいます。ふたりして静かに飲んでいます。お笑いの話は一切しないし、ボケたりもしない。
井口 みんな、本当にお笑いの話してないんだな……。
河本 どうせあなたたちはお笑いの話ばっかりしてるんでしょ? バラエティっぽいことやるんでしょ? カラオケボックスで。
井口 するよ。
河本 僕ら、本当にお笑いの話をしない。キャンプ仲間のバイきんぐの西村さん、ヒロシさんとはキャンプに行っても、とくに話さずお互い静かに焚き火を眺めてます。
──以前、この欄でバイきんぐさんにもお話を伺ったのですが、そのときも西村さんがキャンプの話をされていました。
井口 これじゃあ「ネタをつくってる方」と「キャンプに行ってる方」のコンビの話ばっかりになっちゃうじゃねえか!
──(笑)。では、おふたりのライバルは誰でしょう?
井口 漫才師はみんな、ライバルですよ。さらにテレビに出ると思うと、芸人さん以外にも面白い人がいっぱいいるので。
河本 僕もテレビに出ている人全部、嫌いです。羨ましいから。
井口 それはライバルとして見てるわけじゃない、ただの妬みじゃないかよ。それに伴って努力しているわけでもないんだから。
河本 そうなんですよねー……。
井口 もう、ほとんどネット民みたいなヤツなんですよ、こいつは。ただ叩いてるだけですから。
河本 ああ、それだ!
井口 それだ、じゃないよ!
河本 2ちゃんねらーだ。
井口 そうだよ! 何にもやらずにただネットに書くだけ。お前は2ちゃんねるやってない2ちゃんねらーだよ。
河本 人前に出る2ちゃんねらーだ。
井口 とにかく棚にあげるタイプですから。でも、ライバルのなかでもやっぱり、仲のいい三四郎さんとM−1の決勝で争うというのは、大きな目標ですね。
河本 それは確かにそうですねえ。
井口 まずM−1で争って、それからふた組でガンガン暴れまわるようになりたいです。
──そんな前向きなお話をしてくださっているのに恐縮ですが、お笑いをやめようと思ったことはありますか?
井口 お笑いをやめることは絶対にないと思っているんですけど、今回のM−1で準決勝に進めなかったときには本当に一瞬、「これでダメならもう本当にダメなんじゃないか」とは思いました。でも、1日経ってみたら頑張るしかないという気持ちになっていますが。お笑いをやめたってやることもないし、もし面白いことが浮かんだときに、それを披露する場がないと思うと怖くてしょうがない
河本 僕は、ふつうに社会人としての能力がないんで。
──そういう言い方だと、芸人さんが社会人の下に位置しているという見解に聞こえますが……。
河本 お笑いの地位なんかそんなもんですよ。
井口 おい、みなさんはそんなことないんだよ! ほかの芸人さん批判になること言うなよ!
河本 あ、そうか。
井口 こいつはこういうところがあるんですよ、自分を蔑もうとしてミスってほかの人を批判することになっちゃう。お笑いは素晴らしいよ、爆笑問題の太田さんなんて、政治家よりいいって言ってるんだから。
河本 そうですね。僕が何もないっていうだけで。もし僕に唯一能力があるのだとしたら、いい相方に出会えた運があるってことだけです。
井口 ……。
河本 自分が何もしなくてもある程度のところまで行けるし。
──いま、いい話だと思って聞いてました……!
河本 思ったでしょ? 違うんですよ。
井口 結局サボろうとしてるだけじゃねえか!
河本 僕、先日子どもが生まれまして。よく言うじゃないですか、「子どもが生まれて仕事を頑張るようになった」なんて。それが、僕まったくなくて。むしろ、かわいすぎて家から出たくなくなってます。
井口 ダメだよ! ……そりゃ、僕が頑張んなきゃいけないわけだよ、ギャラ折半なんだから。
河本 ある意味(井口も)父親なんですよ。
井口 完全に育ての親だよ! 実質こいつが赤ちゃんを抱いてるかもしれないですけど、そのミルク代は僕が出してるようなものなんで、より頑張らないと。
河本 頑張ってほしいですね。
井口 こいつが結婚して、子どもが生まれて、どんどん僕の背負うものが増えてく一方ですよ。その間、僕自身は悪口を延々言って、誰からも相手にされなくなって結婚からも遠のいていくんですから。お前もちゃんと頑張れよ!


2017.1.5
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ104号の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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