芸人、かく語りき
vol.32 ウエストランド 後編

104号「芸人、かく語りき 」に登場いただいたウエストランドの井口浩之さんと河本太さん。web版の後編では、とめどもなくあふれ出る井口さんの憎まれ口、その源泉にせまります。

   
   

westland
08年結成。YouTubeで[ウエストランドのぶちラジ!]を配信中。
iguchi hiroyuki(左)
83年岡山県生まれ。[ぶちラジ!]のスピンオフ[ぐちラジ!]をYouTubeにアップ。
komoto futoshi(右)
84年岡山県生まれ。キャンプを愛好。
所属事務所タイタンのHP

枯渇することのない“悪口の時事ネタ”

ウエストランド


──初めての単独ライブでたくさんのネタをつくって、「結局悪口ネタが残った」というお話をされていましたが(本誌記事参照)、悪口が枯渇することはないんでしょうか?
井口 世間的に嫌なことって一生あり続けるから、枯渇はないでしょうね。僕らがやっていることって、“悪口の時事ネタ”なんです。その時々で話題になったことに噛み付いているので、過去のネタもあまり再活用できないんですよ。たとえば4年前には「女子にLINE送ったら既読になってるのに返事がこねえよ!」というくだりでウケていたんですが、いまはそんなの当たり前すぎてウケるわけもない。いま現在の悪口をずっと言っているのが、僕らの漫才なんです。だから、ネタはつくっては捨て、つくっては捨てするしかない。
──つくり続けるしかないんですね。
井口 そうなんです。そういう意味では、時事ネタを爆笑問題さんから受け継いでいるとも言えるかも。おこがましいですが。僕らは半径5km以内の時事ネタをやってます。
河本 極端に自分たちのことだけですからね。
井口 それでも、けっこう悪口を言いたくなること、巻き起こるものですよ。僕は舞台上で言ってるからいいけど、世の中の皆さんはよく我慢しているな、サラリーマンの方とかはどこで吐き出すんだろうって思います。たぶんジジイになったら膝が痛えとか肩が痛えとか、暑いとか寒いとか言ってるんじゃないですかね。
河本 そういう怒りに変わっていくのか。
井口 2020年のオリンピックも楽しみですね。道が混んでるとかいうことで文句を言ってるんじゃないかな。
──歳を重ねて丸くなることはないんですか?
井口 別に丸くなりそうにもないですね。売れたら悪口がなくなるんじゃない? と言われたこともあるけど、売れたら売れたで「なんでお金を持ってるのにモテないんだ」って悪口を言ってそう。むしろ、お金がないとそのことしか考えられなくて怒る余裕がなくなりますから、やっぱりある程度稼がなきゃダメなんです。稼いでいても絶対完璧な幸せなんてないはずだし、「売れてるのにこんななのかよ!」って言ってる気がしますね。
河本 それ、意外といいかもしれないね。
──河本さんはずっと悪口を受け止め続けていますが……。
河本 いや、受け止めるというスタンスでもないんですよね。話半分に聞いてる。もし全部受け止めてたら、もたないです。そういう意味では受け流す能力があるのかもしれない。ちゃんとは、聞いてないです。
井口 ネタなんだから聞けよ!
河本 常にきっかけのセリフだけ待ってるっていう状態ですね。
──じゃあ、井口さんが何に対して怒っているのか、ネタの内容を詳細には把握していない……?
河本 そうなんです。だから、同じネタでも新鮮に笑っちゃうんですよ。たまに覚えていることもあるんですが、そうするとネタが始まる前に笑っちゃうことがあるんですよ。
井口 なんで先走って笑っちゃうんだよ。
河本 「そういえばこいつ、この後こう言うんだよな」って思うと笑っちゃう。
井口 ダメだよ! 本当にあるんですよ。先に笑っちゃうこと。
河本 ついつい、ニヤニヤしちゃうんです。だから、覚えてない方がいい。
井口 漫才師としては0点ですよ!
──これからのウエストランドの野望を教えてください。
井口 テレビに出たい、テレビの真ん中に行きたい。僕ら、「わかる人にだけわかりゃいいや」というタイプでは全くないんです。どんなことをしてもゴールデンタイムの番組、超人気番組に出たい。ありがたいことに、タイタンに所属してすぐに爆笑問題さんの番組で前説を務めさせてもらったんです。そこで収録を見学していると、「こんなに楽しい世界があるんだ、僕らもここに入りたい」と本当に思うんです。
──その気持ちは、河本さんも同じですか?
河本 そこだけは同じですね。ただ僕、一回テレビに収録に行くと、必ず風邪をひいちゃうんですよ。
井口 何もしないくせに人一倍緊張するヤツなんです。以前は収録二回で一回風邪をひいてたんですけど、最近は一回でひくんだよな。
河本 だから、売れたら怖いっていうのもあります。
井口 売れたらずっと風邪ですね。
河本 これはぜひ訴えたいんですけど、しゃべらないほうが疲れるんですよ! ずっと黙っているのって、すごく疲れるんです。
井口 そんな主張が記事になったら「こいつに仕事与えるのやめとこう」ってなっちゃうよ! なんとか頑張ってしゃべれよ!
河本 でも、売れたいです。
井口 以前『笑っていいとも!』に出させてもらっていたときにできなかったことでも、いまならできることもたくさんあると思うので、テレビに出て、三四郎さんをはじめとした同世代の芸人と、わいわいやりたいですね。いつか、上の先輩たちをひっくり返して、僕らの世代でテレビをやる。それが一番の目標です。
河本 いまのところ、ひっくり返りそうにないけど。でも頑張りたいですね。
井口 先輩たちは生涯現役ですからね。しかもどんどん面白くなっていくし……。だからどんどん差がついていくんですよ。一刻も早く売れないと、追いつけなくなっちゃう。「まだ8年目じゃん」と言われたりもするけど、いやいや、1日も早く売れたいんです。


2017.2.13
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ104号の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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