芸人、かく語りき
vol.35 Aマッソ 前編

107号の「芸人、かく語りき 」に登場いただいたのはAマッソの加納さんと村上さん。勢いあるおふたりに、そのパワーの源をお聞きしようと思ったのですが……。

   
   

a masso
08年結成、11年上京。16年、M-1グランプリ準決勝進出。静岡朝日テレビの運営するインターネットテレビ局SunSet TVで『Aマッソのゲラにチョビ』配信中。
kanou (右)
89年大阪府生まれ。
murakami (左)
88年大阪府生まれ。
所属事務所ワタナベエンターテインメントのHP

遅い、遅い。まだここか、と思います。

Aマッソ


──村上さんが遅れてらっしゃるので、先に始めてしまいますね。
加納 ほんまにすんません。あいつ殺しますんで。
──(笑)。加納さんがすべてのネタを書いているそうですが、加納さんから見て、プレイヤー・村上さんはどうですか?
加納 もともと、私がボケで村上がツッコミやったんですよ。でもここ1、2年で逆にして、ようやくあて書きをするようになった。というか、それまではネタを書いてから「どっちがどっちやろか」くらい曖昧やったんですよ。だから村上の人間性も出せてなかったんです。村上のカラーを出したほうが、あいつもより魅力的に映るんかなって、最近ようやく考えはじめた感じです。
──村上さんはアルバイトで生活を支える担当だそうですが、いまも働いてらっしゃるんですか?
加納 いや、最近はあんまり入れてなくて、お互いギリギリ食えるくらいです。きついときだけあいつがちょっとバイトに入ります。毎月給料日はヒヤヒヤして、ATMでふたりでこうやって(遠くから恐る恐るタッチパネルを押す動き)、「今月いけるか? ……ああ、バイト入れなあかん」みたいな感じですね。
──Aマッソは漫才もコントもやられていますが、コントは衣装やセットが必要な分、お金もかかりそうですね。
加納 そうなんですよ。今回DVD収録のときに初めてセットをつくっていただいて、プロがつくったらこんなにええんか、って驚きました。「売れてー!」と思いましたね。「テレビコントやりてー!」って。
──プロにセットをつくってもらえるようになったら、きっとコントの中身も変わってくるんでしょうね。
加納 自分らでつくるハリボテやからこそ足さなあかんボケとかありますからね。「逆にわざとやで」ってセリフを入れなあかんときもあるから。
──この1、2年、おふたりをよくテレビで見かけるようになって、環境も劇的に変化しているように見えますが、実感はしていますか?
加納 2年前『笑けずり』(NHK-BS1)で初めてテレビ出さしてもうたんですけど、そんときも「もうええ加減テレビ出な」って感じやったし、いまも「まだここかい」って思いますね。確かに周りは変わってますけど、もっと変わらなと思ってます。横並びの奴らわんさかおるし、そこから早く抜きん出ないと。
──とはいえ、ファンの方も増えていると思いますが、ファンの男女比はどれくらいですか?
加納 もともと男の人が多かったんですけど、最近出待ちはほとんど女の人です。友達みたいにしゃべってくるんで、友達の疑似体験すな、と思いますけど。「ちゃんとしゃべれ」「早よ帰れ」って言います。
──(笑)。
加納 お客さん増えてきましたけど、自分のなかではようわかってないというか、やっぱり遅いなと思います。
──芸歴を重ねた方もライブシーンにあふれている中で、芸歴8年目はまだ若いほうに思えますが。
加納 ぜんぜん若くないっすね。ハリセンボンさんは春菜さんが23歳のときに売れてるんで。焦りとは違うけど、本当に「遅い遅い」って感じです。
(村上さんが到着しないまま、後編につづく)


2017.6.20
[text]釣木文恵 [photo]下田直樹


ピクトアップ107号の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


ナイツ 後編◁ │ ▷Aマッソ 後編