芸人、かく語りき
vol.36 Aマッソ 後編

107号「芸人、かく語りき 」に登場いただいたAマッソの加納さんと村上さん。web版の後編では、女芸人としての立ち姿をあぶり出します。

 
   

a masso
08年結成、11年上京。16年、M-1グランプリ準決勝進出。静岡朝日テレビの運営するインターネットテレビ局SunSet TVで『Aマッソのゲラにチョビ』配信中。
kanou (右)
89年大阪府生まれ。
murakami (左)
88年大阪府生まれ。
所属事務所ワタナベエンターテインメントのHP

おっぱい膨らんでるから、しょうがない

Aマッソ


(遅れていた村上さん、寝起きの様子で登場)
村上 おはようございますー!
加納 死ね。いま死ね。
村上 (小声で)すいません。
加納 小声で言ってマジな感じを演出するやつですわ。
──よろしくお願いします。
村上 ごめんなさい、こちらこそ。
加納 こちらこそてなんやねん。
──加納さんにいろいろ聞いてたんですけど。
村上 それがすべてです。
──(笑)。おふたりは、子どもの頃はどういうお笑いが好きだったんですか?
加納 吉本新喜劇ですね。
村上 私もです。
──では芸人を始めるとき、よしもとに入ることは考えませんでしたか?
村上 考えてました。
加納 「よしもと行こか」言うて金も貯めてたんですけど、大阪松竹から声がかかったんですよ。
村上 ラッキーや!って。
加納 松竹はタダで入れてくれたんで(※松竹芸能タレントスクール大阪校に特待生として入学)。
──いまはワタナベエンターテインメント所属ですよね。言えないこともあるかもしれませんが、松竹をやめられた理由は……。
加納 あ、クビですね(即答)。
村上 ハハハハ! ぜんぶ言えます。
──クビになったということは、何か原因があったわけですよね?
加納 そうっすね、態度が悪くて。へへへ(笑)。
村上 ほんま、いまは「へへへ」とか覚えたから大丈夫やけど。
加納 そうやな。当時は「へへへ」ってしてなかったんで、追い出されちゃいました。
──態度が悪いというのは、どういう?
加納 女芸人ならではの、セックスアピール的なオーディションに参加したとき、ウチら流してやってたんですよ。それを先輩がマネージャーにチクって、クビになりました。
村上 違うよ、その前からマネージャーのこと無視してたんですよ。
加納 したかなー?
村上 挨拶とかもね、しなかったんですよ。
加納 女芸人に風当たり強かったし、うちらも協調性なかったし。
──そんなオーディションがあるんですね。
加納 「自分の体で好きなとこ、どこですか」みたいなこと聞かれて、「は?」って。
村上 で、この人「親指」って言ったんですよ。
加納 ほかの人は「お尻です」とか言っとってん。ムカついたから「親指ですかね」つって。そもそも「エピソードトークしてくれ」みたいな話やったから行ったのに。
──Aマッソは「女芸人ならでは」のネタを一切やられないので、おふたりを「女芸人」のくくりにするのも少し違和感がありますね。
加納 まあ、でも女芸人ですからね。
村上 残念ながら、おっぱいがちょっと膨らんでるんですよ。だからしゃあないっすね。
加納 「女芸人じゃなくて芸人として見てくれ」みたいなんは、女である以上無理がある。私ら女芸人の権利を訴えてるように見られがちなんですけど、それってちょっとイタいじゃないですか。
村上 ハハハハ!
──DVDには「進路相談」というネタが入っていますね。
村上 フェミニズムに訴えてるなあ(笑)。
加納 あれは、本音ですね(笑)。
──まず言いたいフレーズからネタをつくるという話がありましたが(本誌参照)、あのコントの中で「言いたいフレーズ」は?
村上 「Aマッソと一緒にすんな!」ちゃう?
加納 どういう気持ちでそのコントつくんねん! そうですね……「女は反省っていう概念がない」ですかね。
村上 アハハハ!
──私、実はちょっと今日の取材が怖いなって思ってたんです。
加納 なんでですか!
──「進路相談」みたいな罵倒し倒すネタもありますし、いままでおふたりがAマッソの名前の由来を聞かれて、まともに答えてるのを見たことがなかったので。今日もぜんぶ適当な答えが返ってくるかもしれないなって。
村上 いやいや。
加納 もう散々怒られましたから。
村上 もう大丈夫です。
──よかったです。では、最後にAマッソの名前の由来を聞いてもいいですか。
加納 イタリアの、マフィアの隠語らしいですね。「トイレに行く」っていう意味らしいですね。
村上 あとなんか科学者が、自分の影の計算したときに「Aマッソ」言うたんやて。
加納 え? 計算てなんやねん。
村上 影の計算!
加納 いまアフタヌーンやから、クオリティこれくらいですよ。もうちょっと日が傾いたらギアがあがるかもしれません(笑)。


2017.7.27
[text]釣木文恵 [photo]下田直樹


ピクトアップ107号の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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