nagase tasuku
93年鳥取県生まれ。11年、ドラマ『桜蘭高校ホスト部』で俳優デビュー。おもな出演作に、ドラマ『怪盗ロワイヤル』『恋愛ニート～忘れた恋のはじめ方～』（ともにTBS）、『仮面ライダーウィザード』（テレビ朝日）、『ブラック・プレジデント』『心がポキッとね』（ともにフジテレビ）。映画の近作に『好きっていいなよ。』。『天空の蜂』は9/12公開。
人間くさい役を、ありのままの自分で
演じて勝負に出る。
ゲッツ板谷の自伝的小説を映画化した『ズタボロ』で、初主演を果たした永瀬匡。日々ケンカに明け暮れながら、〈自分は何者であるか〉を探し続ける青年・コーイチを演じる。「どこかいまの僕とリンクする」という役だからこそ、「ありのまま等身大で演じようと思った」という。演者として、心と体をフルに使って挑んだ現場。作品に“リアル”を生み出す力と、自身が考える“強い男”について訊いた。
――今作は永瀬さんにとって初主演作です。
「〈主演〉は自分にとっていつか来ないといけない通過点だったし、どんな作品になるのだろう？という想いはありました。それが『ズタボロ』で……テンションが上がりましたね！ 強がるところは強がって、負けるところは負ける、そういう人間くさい役をありのままの自分で演じて勝負できることに」
――板谷コーイチという役は等身大の自分で演じられたと？
「リンクするところがたくさん見つかりました。暴走族という看板がなくても、そばにいてくれる仲間、家族の大切さを再認識して、“自分の名前”だけで戦っていく姿は、田舎から東京に来て都会でもまれながら立ち向かっていたり、その中で一緒に戦ってくれる仲間に気付いたりする自分に、どことなく投影できました。『俺が板谷コーイチだ！バカ野郎！！』というセリフがありますが、『俺が永瀬匡だ！バカ野郎！！』じゃないけど（笑）、この作品で名前を知ってもらって勝負に出られたら。永瀬ってどんな人なんだろう？と気になってもらえたらと。そういう意味でも近いなって思います」
――原作は、ゲッツ板谷さんの自伝的小説。演じる上で意識した部分はありましたか？
「ゲッツさんは『板谷コーイチはそのままの俺ではないから。永瀬くんが経験してきたことを表現してほしい』と。だから、現場で感じたことを素直に出そうと思いました。その方が生々しくていいんじゃないかって」
――リアルさを大事にしているのは、どんな作品でも変わらない？
「僕自身は圧倒的にそうですね」
――演じていてリアルに感じられないときは？
「そういうときは苦労します。それでも、どんな風にしたらリアルになるか？ どうすれば腑に落ちるか？を考える。ここで泣かなきゃとか、手を震わせなきゃなんて思いながら演じるのは、すごく……嘘をついている気がしてしまうんです。芝居は結果的に嘘なんですけどね」
［text］音田博美 ［styling］関敏明 ［hair&make］佐藤友勝
［衣裳協力］ベスト￥48000（税別）／FRANK LEDER（LINKS 03-3791-7160）
ズタボロ
監督／橋本一 原作／ゲッツ板谷「メタボロ」「ズタボロ」（幻冬舎文庫） 脚本／髙橋泉
出演／永瀬匡 清水富美加 堀井新太 成田瑛基 南果歩 ほか
配給／東映 （15／日本／110min）
5/9～全国公開
©2015東映ビデオ
映画『ズタボロ』オフィシャルサイト