日本史上最年少でカンヌ国際映画祭シネファンダシオン部門にノミネートされた井樫彩。
最新作は14歳の少女と27歳の女性の愛について描いた『真っ赤な星』。
桜井ユキは、今作で演じた弥生という女性に、どうやって血を通わせたのか。
――まっすぐで、若々しい作品だと思いました。見る人の価値観によって、印象が変わる作品だと思います。桜井さんは、最初に脚本を読まれたとき、どうとらえましたか?
「『なんてピュアな物語なんだろう』と思いました。女性同士のキスシーンなど、インパクトの強い場面があるので、そういったところだけがクローズアップされがちですが、センセーショナルなだけの話ではないと思いました。弥生を客観視することなく、近い距離で感じて読めました」
――では、すんなりと役をとらえることができた?
「はい、すんなりでした」
――役者の方は役を自分に近づける方と、役に寄せる方がいますが、どちらですか?
「わたしは〈役づくり〉がなんなのかがわからないんです。もちろん体重を増やしたり、減らしたり、髪型やメイクで、見た目を変えることはします。でも、それは役づくりの前の段階だととらえています。わたしは脚本に書かれていることがすべてだと思っているんです。脚本に書かれていない登場人物の過去を、自分で勝手に広げていってしまうと、作品の色を変えてしまいかねない。書かれている部分だけをたよりに、どういう人間なのかを妄想するんです。あとは現場で、陽だったり、賢吾だったり、生身の人間と対峙して、そこで出てきた感情を大切にしています」
短言葉を交わすことなく、意思疎通ができた現場
――井樫監督の印象は?
「ブレない、迷いがないんです。たいてい、人は思ったことを、一度オブラートに包んで投げると思うんですけど、監督はそれがない。お互いにどう思っているのか、少ないやりとりで伝わりました。なんとなく話している中で、無言でうなづきあって理解しあったり、『だよね?』『はい』だけで通じたこともあって(笑)。それはすごく素敵なことだと思うんで」
――あまり段取りを踏む感じではなかった?
「撮影前にいろんなお話をさせていただいて、撮影に入ったら任せてくれました。お芝居はフィクションですが、わたしはどこか生々しさが欲しいと思っています。口で意図を説明したり、段取りをつけ過ぎてしまうと、かたにはまったものになってしまう。監督は現場で生まれた生っぽさをちゃんと拾ってくれました」
――感覚的な現場だったんですね。
「理由づけができない良さを持った作品にひかれますね。なんかよくわからないけどよかった、という感覚は大事だと思っています。それは日常でも、演じる上でも」
演じる役に血を通わせたい
――井樫さん、桜井さんの初主演作『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY-リミット・オブ・スリーピング ビューティ』の二宮健監督にしても、90年代生まれです。その世代の監督から感じたものはありますか?
「ありました。タイプが違いますけど、おふたりとも表現することに対して恐れがないんです。素直でまっすぐで、想像を越えてくる。『それしちゃうんだ?』『それやってもいいんだ』とか、言われてみると『確かにそうだ』と思えるし、一緒にやっていて新鮮な気持ちにさせてくれる監督だと思います。自分から枠の中に収まることを絶対にしないので、それは武器だなと思います」
――先ほど生々しさとおっしゃいましたけど、確かに「この人、生々しいな」と思いました。
「(笑)」
――桜井さんにとっての武器は、そこですか?
「わたしは演じる役に血を通わせたいです。すべての作品においてそれが正しいわけではないので、そのせめぎあいの中で、どこかレア感をだすみたいな(笑)。完全に火が通る前の生っぽいお芝居を意識していますね」
――では、テクニックに頼らないようにという意識があるんですか?
「ありますね。テクニックを身につけてしまえば、楽になると思うんです。ここでこうしたらこういう風に見えるとかわかるから。ありがたいことに出演させていただく本数も増えてきましたし、経験を積むことで自分にもいずれ無意識にテクニックが身につくと思います。でも、わたしはその中でも、生っぽさを大事にしたい」
――その姿勢を続けることは、しんどくないですか?
「しんどいです。でも、今後も、苦しくても、感覚を大切にしてやっていきたいと思います」
2018.11.27
[photo]久田路 [styling]岡部美穂 [hair&make]藤垣結圭 [text]浅川達也
sakurai yuki |
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真っ赤な星 |