映画、ドラマ、ミュージックビデオ、CMなど、
幅広いジャンルの映像作品に出演。
主演作『KONTORA コントラ』での演技で注目を集めた円井わん。
最新主演作『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』の吉川朱海役では、
コメディエンヌとしての才能も見せている。
――脚本を読んだとき、どこに面白みを感じました?
「タイムループに閉じ込められて、一週間を繰り返していることに部長が気づかないと終わらない。でも、いきなり部長に知らせに行くのではなく、ひとつ上の役職のひとからその上の役職の人と、ひとりひとり説得していく。その上申制度という発想がめちゃくちゃ面白かったです。その考えはなかった。朱海が『面倒くさ!』と言うのは、わたしの本音も入ってますね(笑)」
――今作の出演はオファーでしたか?
「オファーでした」
――どの作品がきっかけとなったのですか?
「コロナ期間中にCHOCOLATE Inc.さん(『MONDAYS』の企画・製作)が企画したZOOM演劇『劇団テレワーク』に参加したんです。竹林亮監督は、その作品でご一緒して、わたしのことを知ってくれたんです」
吉川朱海という役は、わたしにとっても新しく生まれた引き出しになりました
―― 作品ごとに印象が違いますよね。監督はほかのどの作品を観て円井さんにオファーを出したのか、聞きましたか?
「以前、ジュンペイスズキというシネマトグラファーと1分ぐらいのコメディ(『Short film 取調べ』)をつくったんです。監督からは『あの感じがいいですね』と言われました」
――『MONDAYS』は演劇的なところもあります。意識はしましたか?
「舞台は一度だけ経験しているんですけど、意識はしなかったです。あの空気感はキャストのチームワークが生んだものだと思いますね。吉川朱海という役は、わたしにとっても新しく生まれた引き出しになりました」
――朱海役を演じるにあたり、とっかかりにしたことはありましたか?
「パソコンに向かうお仕事をする方たちを参考にしました。CHOCOLATE Inc.の方たちとか(笑)」
――すごく身近に(笑)。
「そうなんですよ。CHOCOLATE Inc.さんがいたからできたことです。実際の職場は映画と全然違うと思いますけど(笑)」
――普段、役づくりはどのようにされていますか?
「撮影前、演じる役の職業について取材したり、監督から『こういうイメージだよ』と言われた作品を観たりして役をつくっていきます。でも、現場では捨てるんです」
――それはなぜですか?
「頑固なので、以前はかたくなに用意してきた役で演じてしまっていた。監督から『じゃあ、こういうのもやってみて』と言われても、できなかったんです」
――どの現場でそれを感じたのですか?
「主にオーディションのときですね。だから、落ちることも多くて。それで『私は考え過ぎたらだめなタイプだ』と思って、やり方を変えました。捨てると言っても、役もセリフも一度頭につめこんでいるから、薄くは残っている。その状態で演じてみて、監督から違うと言われれば柔軟に修正していく感じです」
――『コントラ』はご自身に近い役だったそうですが、今回の吉川朱海役は?
「ほぼ違うんじゃないですかね(笑)。朱海は同僚と必要最低限の話しかしないし、あまり人と関わろうとしない。そこは共感できないです。わたしはめちゃくちゃおしゃべりなので。でも、向上心のようなものを持っているところには共感するし、そうあるべきだよなと思います。ただ、いざ自分がそれをできるかと言ったらできないですね」
――ご自身に近い人と遠い人、どちらが演じていて面白いですか?
「楽しいのは遠い人ですね」
――それが役者をやりたいと思ったきっかけですか?
「たぶん、それはありますね。自分とは違う人間を演じてみたい、違う何かになりたいというのはありました」
――最近の役者さんは俳優業以外にも歌を歌ったり、マルチに活躍されている方がいます。円井さんの志向は?
「できるなら何でもやりたいです。だけど、マルチにできる才能は多分ないです(笑)」
――ドラムをやっていたんですよね?
「そんなに才能がなかった(笑)」
――役者は?
「一番褒めていただけたんです(笑)。ものになるのはこれだけかなと思えた。自分にとって一番輝ける場所です」
――ダメ出しされることは?
「あまりないです。ダメ出しされたときは、マジでスルーします。90パーセントぐらい聞かないです(笑)」
――今後の目標は?
「海外の作品にも出演したいですね。それはどの国の映画でも。それで、家族やお世話になった人、全員に恩返しをして、自然のあるところで暮らしたいです」
――それが最終目標?
「そうです。それで、たまに現場に呼ばれるぐらいのおばあちゃんになっていたらいいなと。(タイに移住した)ミッキー・カーチスさんみたいな生き方がいいです(笑)」
2022.10.14
[photo]久田路 [styling]飯間千裕 [hair&make]MARI(SPIELEN) [text]浅川達也
marui wan |
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