『メイヘム・ガールズ』『あつい胸さわぎ』『カムイのうた』『パラダイス／半島』と
主演、ヒロインを務めた作品が続く吉田美月喜。
『あつい胸さわぎ』では、さまざまなできごとを前にして揺れ動く
主人公・千夏を演じた。
──『メイヘム・ガールズ』『あつい胸さわぎ』『カムイのうた』『パラダイス／半島』と出演作が続きます。すべてオーディションですか？
「『メイヘム・ガールズ』はキャスティングで、対面のオーディションではなかったです。今回の『あつい胸さわぎ』と『カムイのうた』はオーディションでした。『パラダイス／半島』は稲葉雄介監督がいままでのわたしの出演作、舞台を見ていて、声をかけてくださいました」
──オーディションに強いんですね。
「全然、そんなことないです。いっぱいオーディションを受けていて、日々心が折れそうになりながらやっています（笑）。コロナ禍ではオーディションが開催されなくて、あったとしても家でオーディション動画を撮って送るというのが主流でした。なので、監督、スタッフさんに会ってオーディションを受けさせてもらえることは当たり前じゃないんだと感じましたし、一つ一つの機会を大切にしようと思いました」
──オーディションを楽しいと思える？
「そうですね。役をいただけるかどうかはわからないですけど、オーディションという形で役に取り組むことは楽しいです。監督さん、スタッフさんから『次はこういう風にやってみて』と指示をいただいて何回も演じることで、自分が鍛え上げられている気がして好きですね」
周囲に安心してもらえる女優さんになりたい
──脚本を読んで、あたたかさを感じたそうですね。
「千夏はいろんな困難に直面して、それで悩んだりする。その千夏を常盤（貴子）さん演じる母や前田（敦子）さん演じるとこちゃんだったり、周りの人が見守っている感じがすごくあたたかいなと感じました」
──『メイヘム・ガールズ』は同世代の方とのお芝居が中心でしたが、今回はキャリアのある方とのお芝居が多かったと思います。印象に残ったことはありましたか？
「『メイヘム～』の共演者は同世代の子たちだったので、何でも気軽に話せて、和気あいあいとできたことが大きかったです。言い方が合っているのかわからないですけど、常盤さんも前田さんも女優としての貫禄があって、お二人がいるだけで現場の雰囲気がパッと明るくなったり、周囲に安心感を与えてくれるんです。それはわたしの中での『主演の人』というイメージ、そのものでした。今回の作品でわたしは主演らしいことが何もできなくて（笑）、周りの方にすごく頼ってばかりだったんです。わたしも学んで、周囲に安心してもらえる女優さんになりたいと思いました」
──今作は原作が舞台ですが、ご覧になったのですか？
「撮影後に監督と再演を観に行かせていただきました。本当に素敵な舞台で、舞台のファンの方は、わたしが演じた映画の千夏を観てどう思うんだろう？と。もう撮影が終わっているので、どうしようもできないんですけど、ちょっと不安に思いました（笑）」
──まつむらしんご監督の演出は、いかがでしたか？
「基本、オーディションでは台本から抜粋した場面を、監督のアドバイスに沿って数パターン演じることが多いんです。まつむら監督は演技を見た上で、わたし自身についてもいろいろ話を聞いてくれて、それはシンプルに嬉しかったです。撮影現場で、実はスケジュールやロケ場所のことなど、いろいろ大変なことがあったそうなのですが、全然知らなくて、わたしが千夏に集中出来るように監督が支えてくださっていたんだなと感じました。監督はこの映画に対する熱量が誰よりも強くて、ついていこうと思えました」
──お芝居をすることになったきっかけは？
「最初の演技レッスンで、お芝居をすることが楽しいと思いました。この世界で生きてみたいと思えた場所で、わたしにとってすごく大きかったです。あとはやっぱり現場です。監督と話をしながらより良い作品にしていく中で、日々多くのことを学んでいると感じます」
──『メイヘム～』はファンタジー要素が強く、『あつい胸さわぎ』は日常的なドラマです。ジャンルによって演じ方は変わりますか？
「作品によって見せたい部分が違ってくると思うので、そこは理解しながら演じることができればと思っています。監督からファンタジーチックな演技を求められれば、それに応えようとがんばります。『メイヘム～』はCGが多用されていたり、非現実的な感じはありますが、女子高生の4人の危うさだったり、もろい人間関係だったり、リアルだったとは思います。やはり架空のキャラクターではあるけど生身の人間が演じるので、ファンタジーの作品でも、人間同士の会話だったり、できるだけリアリティがあるようにしたいです」
──いまこのお仕事をされていて、面白さを感じているところは？
「わたしは現場が好きで、監督の持っている雰囲気によって現場が変わったり、さまざまな世代の共演者とお芝居をしたり、その中で学んだり、人とコミュニケーションをとりながら何かをつくりあげていくことがすごく好きなんです。いろんな現場を経験してみたいという気持ちがオーディションをがんばっている理由になっていると思います」
2023.1.26
［photo］久田路 ［styling］岡本純子 ［hair&make］田中陽子 ［text］浅川達也
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