『幕末高校生』完成報告会見
玉木宏さんが体現する「この人頼りになるの?」な勝海舟
2014.3.6@新宿区
左より、李闘士男監督、柄本時生さん、玉木宏さん、石原さとみさん、千葉雄大さん
勝海舟の目の前に、現代からタイムスリップした高校教師と高校生3人が突然現れて……。“歴史エンターテイメント”映画『幕末高校生』の完成報告会見が開かれ、主演の玉木宏さんや共演者の石原さとみさん、柄本時生さん、千葉雄大さん、李闘士男監督が登壇しました。
劇中衣裳のため、ひとりだけ着物姿の玉木さんが「映画とは逆で、僕が現代にタイムスリップしてしまったような格好ですが」とにこやかにあいさつしたあと、石原さんが「時代劇の本場・太秦(東映京都撮影所)を現代服、ヒールで走り回るなんて初めてで、とても楽しかった」と撮影をふり返る言葉を発して会見はスタートしました。なおMCはフジテレビアナウンサーの戸部洋子さん。
まず作品を観た感想を求められた登壇者のみなさん。
玉木 すごく観やすいというか、コメディタッチの作品なので……(なにか合図を送ってくる監督の方に目をやって)あれ、言っちゃいけないこと言いました?
李 (いやいいんだけど、という仕草)
玉木 ……史実に基づいた内容も理解しやすく描かれているし、歴史を知らない方にもぜひ観ていただきたい作品です。
石原 撮影に入る前、監督は「この作品はコメディじゃないから!」っておっしゃっていたんですよね(笑)。でも出来上がりを観て「ザ・コメディだな」と思いました。すいません、監督(笑)。〈(柄本)時生くん演じる高瀬は歴史を全然知らない〉という設定でそれを私が教えるシーンもあるので、とてもわかりやすいエンターテイメント作品、だと思います。
「コメディじゃない」宣言は、「ただオモシロおかしい映画ではない」という意志表示だったのでしょう。監督は「10年でも格好や生活は全然変わる。一方この映画は140年ぐらいさかのぼる話です。でも、いまと変わらない部分があるんじゃないかと思うんです」と語りました。〈価値観が激変したあの時代から学べるものは多い。それをエンターテイメントとして伝える〉というメッセージだったのではないでしょうか。
まだ完成作を観ることができていない柄本さんが「ヤル気あるの?」と監督にいじられたり、千葉さんが「僕はまわりと群れず、飄々とした役柄だったんですけど、ラストに向かって一致団結していく展開を観て、熱くなれました」とステキなコメントを放ったりして、会場のテンションはアップしていきます。
MC 心に残る撮影中のエピソードをお願いします。
玉木 そうですね。時生くんが何度も台本をなくした、ということがありました。それをひとのせいにする。
柄本 違うんですよ。あったんですよ。あったんですけど、さとみさんのマネージャーさんが間違えて持って帰っていたんですよ。
石原 そうなの? え~。それは申しわけありません。
玉木 自分で管理しなければならないのに、置いた場所が悪いんだよ。
柄本 はい。あと、衣裳部屋に置いたままにしたりとか……何回か。
玉木 そういう粗相が多かったね……。おかげで明るく、楽しい現場でした(笑)。
MC 石原さんは?
石原 監督の本音を知りたいというコンセプトのもと、ドッキリをしかけました。監督がメイクさんたちと飲みに行く店を知っていたので、向かいの席に個室をとって、みんなで聞き耳を立てながらゴハンを食べて。メイクチームに合図して、聞き出してもらって……。
玉木 しましたねぇ。
MC 結果は?
石原 つまらないぐらい、私たちのことを褒めちゃうんですよ。
李 出てくるのがあと30分遅かったら、いろいろマグマが噴出していたかもしれない(笑)。
MC 千葉さん、何かエピソードはありますか?
千葉 (静かに)芝居がよかったら、監督が乳首をつねってくれるっていうのがあって……。
玉木 ちょちょっと、大丈夫なの、そんな話?
石原 監督?!
李 (ぼそっと)ここで言うなよ。
玉木 つねられて、うれしいのか?
千葉 「あっ来た!」って。それを指針にがんばっていました。
李 若い役者さんには言葉で褒めるよりも肌の触れあいの方が、がんばるんじゃないかと思って(笑)。
柄本 僕にはそういうの、なかったですよね。
李 えっとね、あとでゆっくり話そうか。
映画にちなんだ「変えたい過去はありますか」という質問には──
柄本さんが「部活をちゃんとやっていたかったかな。昔はプロ野球選手が夢だったので」。
千葉さんは「僕はあんまりキラキラした学生生活を送っていなかったので、あんまり戻りたいとは思わないんですけど、少女漫画のようなキラキラした高校生活を送りたい」。
続いて、「好きな先輩にバレンタインチョコを毎年つくっていたんですけど、4年目に実はチョコが嫌いと先輩の親友から教えてもらった(笑)。マドレーヌをつくって持っていきたい」と石原さん。
玉木さんは「もっと勉強をしておけばよかったなと思います。こうやって歴史の関わる作品に触れたりもしますし、その都度勉強はするんですけど、最初から知識があればよかったな」。
愉快なやりとりが終始交わされ、会見はおおいに盛り上がりました。「僕が知っていた勝海舟はしっかりとした人というイメージがありましたが、本作では人間らしい弱さや、『この人、頼りになるのかな』という一面を見られます。新しい勝海舟像を打ち出すことができました」と玉木さん自身の手ごたえも詰まった本作。公開までしばしお待ちを。
[text]hco
幕末高校生
幕府の陸軍総裁・勝海舟は、江戸に攻め込もうとする新政府軍参謀の西郷隆盛との和平交渉に頭を悩ませていた。そこに突然、現代からタイムスリップした高校教師・未香子と高校生3人が突然現れる。「江戸総攻撃は起こらない」と豪語する未香子だったが、歴史は少しずつ変わり始めて……。7/26~全国公開
『幕末高校生』のオフィシャルHP