記者会見レポート

『坂道のアポロン』プレミアム試写会 舞台挨拶

パーソナリティがにじみ出す演奏シーン

2018.3.7@港区
母と暮せば4shot


公開を間近に控えるなか『坂道のアポロン』のプレミアム試写会が行われ、上映後にメインキャスト4人と監督、応援ゲストによるトークセッションが催されました。

上映が終わり観客席に余韻が残るなか、司会者の呼び込みを合図に知念侑李さん、中川大志さん、小松菜奈さん、ディーン・フジオカさん、三木孝浩監督が順にステージに登壇。まずは知念さんの「(公開まで)あと3日ですか。早いですね、もうドキドキです。待ちきれないので少し早めに盛り上がろうということで、みなさんと少しの時間、楽しくお話しできたら」とごあいさつ。本作を応援するスペシャルゲストとして、ジャズシンガーの綾戸智恵さんも加わり、イベントがスタートしました。

本作のキャッチコピーは「友情に、恋に、音楽に、あなたは何に涙しますか?」。これにちなみ、観客それぞれが感動したポイントについて、あらかじめ配られたの3種の札「友情」「恋」「音楽」のいずれかを挙げて一斉にアピールするコーナーも。
「あ、『友情』が多いですね」と中川さん。多くが「友情」札を挙げるなか、「音楽」を挙げている人もいる模様。ディーンさんは「恋がまったくない(笑)」。三木監督は「この『友情』はね、(小松さん演じる)律っちゃんを含めた友情のことだね」。「『恋』が意外と……」とさみしげに漏らした知念さんに、三木監督が「あ、ラブシーンを演じた身としては『がんばったのに』と?」。知念さんが「そうですね(笑)……でも(3枚のうち)強いて言えばこれ、という結果ですよね?」。その瞬間、客席の変化を見逃さなかった中川さんが「何人か、『恋』に変わりましたよ!」。

折り鶴司会者が「(知念さん演じる)薫と(中川さん演じる)千太郎の関係は、運命的なものがありましたよね」と振ると、三木監督は「通常、男女でやるラブストーリーの演出をこのふたりのシーンでやったりしましたからね。最初の出会いからスローモーションになってね」と返答。知念さんも「いきなり『千太郎、美しい……』って感じでしたもんね(笑)」と乗っかり、ディーンさんは「ヒロインの顔でしたもんね、知念さんは」と盛り上げます。綾戸さんは「ふたりが教会で『俺の胸のなかで泣けよ』ってシーンなんて、あれはもうラブシーンやね」。
小松さんも話題に加わります。「ふたりがすごく美しくて。ピアノのところ……」(小松)、「あ、オルガンで並んで連弾するところ?」(知念)、「初めて名前で呼ぶシーンね、『薫』って(笑)」(中川)、「キスするんじゃないかって思ったくらいです(笑)」(小松)。

劇中には、薫がピアノを弾き、千太郎がドラムを叩く演奏シーンがたびたび登場します。これについて綾戸さんは「ミュージシャンとしてこれは言いたい。このふたりの演奏は本当にすごい」と絶賛。「僕も(トランペットを)吹いていたんですけど?」というディーンさんの言葉を「あなたの場合は、先に顔を見てしまうから。私は顔の方に『うわぁあ〜』ってなってしまう(笑)」とかわしつつ、中川さんには「うれしそうな顔して(ドラムを)叩く。私のバンドで叩いてみる?」とラブコール。中川さんは「プロの方からこういうお言葉をいただけるなんて」とうれしさをかみしめます。
「(ふたりの演奏は)技術でやっているように見えなかった、『俺、幸せー』って、『人生を見つけた〜』っていう風に見えた」との綾戸さんの感想に、知念さんも「本当に幸せだったんだよね、ふたりでセッションしている間は」と撮影を振り返っていました。

劇中、律子の父(中村梅雀さん)の経営するレコード屋の地下に音楽スタジオがあり、そこでセッションが始まる、というシーンがあります。
「あのシーンは、4人でひとつの音楽を奏でることで『つながれる』というか、わくわくと高揚する感じがあった」(三木)
「一番前で生の音を聴けて、自然と涙がボロボロ出てくる感じでした。ディーンさんと梅雀さん、大人の支えがあって、そこにふたりが入ってくるってところも感動しました。自然に身体がスウィングしたし、こんなに近くで観ていていいのかなってくらいに幸せでした」(小松)。

綾戸さんからは改めて映画評が。「ミュージシャンの伝記映画じゃないから、うまく演奏することが大事なわけじゃない。テクニックもあったんだけど、それよりも演奏で役柄のパーソナリティが出ていた。ここにこそ、映画である意味がある、と思いました」。
6人によるトークセッションは盛況のうち、無事終了したのでした。

[text]hco


坂道のアポロン
監督/三木孝浩 原作/小玉ユキ 脚本/髙橋泉
出演/知念侑李 中川大志 小松菜奈 ほか
配給/東宝 アスミック・エース (18/日本/120min)
西見薫は転校先の高校で、誰もが恐れる不良、川渕千太郎と運命的な出会いを果たす。二人は音楽で繋がれ、荒っぽい千太郎に、不思議と薫は惹かれていく。ピアノとドラムでセッションし、千太郎の幼なじみの迎律子と三人で過ごす日々。やがて薫は律子に恋心を抱くが、律子の思い人は千太郎だと知ってしまう……。3/10~全国公開
『坂道のアポロン』のオフィシャルHP


ピクトアップ111号(2018年2月17日発売号)は『坂道のアポロン』特集号。
表紙は知念侑李さんです。