芸人、かく語りき
vol.10 爆笑問題 後編

実力派芸人を紹介している本誌連載記事「芸人、かく語りき」。爆笑問題の太田光さん、田中裕二さんに登場いただいた#89のインタビュー。誌面には載せきれなかったお話をどうぞご覧ください。

   

bakusho mondai
88年、大学の同級生同士で結成。レギュラー番組を多数抱える一方、タイタンライブでは常に新ネタを披露。『爆笑問題の日本史原論 黒田官兵衛はなぜ天下をとらなかったのか?』(幻冬舎)が発売中。
ota hikari(右)
65年埼玉県生まれ。小説、エッセイを多数執筆。小説『文明の子』(ダイヤモンド社)が発売中
tanaka yuji(左)
65年東京都生まれ。野球への造詣が深いことから、『S☆1 』(TBS)にピンで出演中

ツッコミじゃなくて早押しクイズの感覚

爆笑問題


──太田さんは、テレビの力を信頼しているとよく話されていましたよね。
太田 「テレビがダメだ、視聴率が悪い」っていうけど、逆に言うとテレビなんてこの程度だし、それでいいんじゃないの?って思ってる。こないだ久米宏さんとラジオで話したら、久米さんはいまのテレビには不満があるって言ってたんだけどね。久米さんの時はもっと圧倒的な存在感があった。『ベストテン』とか漫才ブームとか……。俺らの頃はまだテレビで何をやるかが、一般の生活の中心にあったんだよね。でもいまやネットもあるし。
──テレビは、いろんなメディアがある中のひとつに過ぎない?
太田 それは真っ当なことのような気がする。もちろんテレビでやりたいことはいっぱいあるんだけどね。もう一回ドカーンと、全員が観るようなこともやってみたいと思ってる。でも同時に、テレビって何かしながらなんとなくつけてチラチラ観てて、その中に俺らがいて「太田がまたバカやってるよ」くらいのもので全然いいかなとも。
──太田さんが前回おっしゃったように、もしテレビの力がもっと弱くなっていったら、お二人はどうなさるんでしょう? 舞台があるから大丈夫という思いは?
太田 それはない。やっぱテレビが中心。テレビは好きですね。
──最後までテレビに出続けることが爆笑問題の使命ということでしょうか?
太田 いや、使命とかそんなことまでは考えてない。まあその日暮らしですよ。(田中さんに)な。日銭を稼いで。
田中 それ橋下徹だろ!
太田 あれは「小銭」か。
田中 「小銭」じゃないよ、「小金」だよ。「小金稼ぎのコメンテーター」。
──こういう時に「日銭」というキーワードだけで、太田さんが言わんとしていることをすぐに田中さんが察知するところがすごいですね。
田中 いやたまたま。あれは話題になった発言だから。
──太田さんが「女優の、みどり……」と言ったら田中さんが「宮﨑あおいだろ!」と突っ込んだというエピソードを劇団ひとりさんがよくお話しされていますが。
田中 コイツ、本当に人の名前が出てこないんですよ。まあでも人間誰しもあるじゃないですか、そういうことは。だから、「色のつく名前、青じゃない、みどりじゃない」っていう思考をたどって。
太田 あとコイツがクイズ好きっていうのはある。
田中 うん、クイズ好きもある。先を読む。「みどり」じゃないのか、だったら以前話をしていたから、それは「宮﨑あおい」のことじゃないか、っていう推理ですよね。
──ツッコミではなく、クイズなんですね。
田中 そう。早押しに近い。

[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ#89の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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