芸人、かく語りき
vol.9 爆笑問題 前編

実力派芸人を紹介している本誌連載記事「芸人、かく語りき」。#89ではついに(!)爆笑問題の太田光さん、田中裕二さんが登場。誌面インタビューからさらに展開したおふたりのお話をお楽しみください。

   

bakusho mondai
88年、大学の同級生同士で結成。レギュラー番組を多数抱える一方、タイタンライブでは常に新ネタを披露。『爆笑問題の日本史原論 黒田官兵衛はなぜ天下をとらなかったのか?』(幻冬舎)が発売中。
ota hikari(右)
65年埼玉県生まれ。小説、エッセイを多数執筆。小説『文明の子』(ダイヤモンド社)が発売中
tanaka yuji(左)
65年東京都生まれ。野球への造詣が深いことから、『S☆1 』(TBS)にピンで出演中

いまのお笑いについて思うこと

爆笑問題


──若手芸人さんがまた少しずつ注目を集めているようにも思いますが、現在のお笑い界についてどんなふうに観ていますか?
田中 全体的には、昔はお笑いの数が今より圧倒的に少ないんですよね。ドリフだ欽ちゃんだっていうブームがあってそれが定着したあとに漫才ブームが来るとか。それがまたちょっと定着したあとに第三世代と言われるウッチャンナンチャンたちが来て。そうやって「ここで次の世代が来たな」というブームの到来がわりとわかりやすかったんですよね。でももうここ最近、僕らも経験したボキャブラブームとか、「エンタ」ブーム以降はもうものすごい数の芸人がいる。常に面白いやつはプチブレイクするという状況がばーっと続いている。だからずっとブームといえばブーム。ただ爆発的な、全部ガラッと変わっちゃうようなブームは起きてはいないって感じですかね。その都度、ブレイクするやつらはいる。
──太田さんはどうでしょう? 以前、「下がつっかえているから辞める」という明石家さんまさんの発言に対して「それは困る」とおっしゃっていたりしましたが。
太田 「カッコよく引退」みたいなのは許さないよってこと。ずるずる落ちてきてダメになってってほしいとは思ってるんだけどね。
──その姿をちゃんと見せてほしい?
太田 自分たちもたぶんそうなるだろうし、それが正しいよね。だって、BIG3がドリフや欽ちゃんを引きずり下ろしたわけだから。だから、そうなっていかないと気持ち悪いですよね。
──でもBIG3のみなさんは変わらずパワフルで、全然“落ちる”気配がないですね。
太田 うん。結局俺らもファンだからね。たとえばたけしさんなんかは、欽ちゃんと同世代なんだよ。だから戦いに行ったんだけど、こっちはもう完全に世代が離れてるから、別にそこを覆そうという気はないんだよね。
──皆さんが面白くてパワフルですもんね。
太田 いまはテレビ全体がどうなるかっていう時代だから、テレビの中でお笑いがどうあるべきとか言っている場合じゃない。もしもお笑いがダメになるならテレビごとダメになる、そういう時代なんじゃないのかな。

[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ#89の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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