アイドル的人気? 使えるものはなんでも使う。でも戸惑いもあります。
うしろシティ
──自信のあるネタは?
阿諏訪 ここ1、2年やっている、僕がヤバいヤツを演じるネタ全般。僕自身から生まれた役だから演じるのもラクなんです。
金子 阿諏訪がこういう人だし、僕も失礼なことを平気で言うタイプ。そういう組み合わせの悪さからくる面白さはいままでもやってきてたんです。たとえば街なかでその辺のおじさんを見て、この人とあの人を組み合わせてみたらかわいそうだろうな、とかイメージを膨らませる。それを自分たちに置き換えてみた。阿諏訪がイタい人を演じる一連のシリーズは、初めて僕たち自身が登場人物になったコントです。二人の素が出ているという意味では、漫才みたいな感覚かな。
阿諏訪 そうそう。
──若手芸人さんの中でも、お二人は「アイドル的人気がある」と評価されていますが、ご自身はどう捉えていますか?
阿諏訪 アイドル的なと言われれば、実際そういうことをしているので、「そんなことないですよ」って言うのは逆にサムい。だってそういうことをしてこないで、全く売れなかったわけですから。使えるものは全部使わないと。
──金子さんは?
金子 (大げさに謙遜する風に)「そんなことないですよ」
阿諏訪 すべってるわー(笑)。
金子 いや、どんな受け取り方をしてもらっても全然いいんですけど、自分が誰かのファンになったことがないので、ピンと来ない部分があるんですよ。
阿諏訪 そうだね。
金子 いつも来てくれるお客さんはありがたいんですけど、楽しいのかな? って不安もあるんです。二日連続で同じネタとかのときもあるし。
阿諏訪 それはめっちゃ思う。昨日と一緒だけどな、って(笑)。サインも、こないだ書いたやつの次のページを差し出されて「サイン、変わらないけどな……」って思うこともあります。めちゃくちゃありがたいんですけどね。
──ネタは生ものだから、ちょっとした差異が面白いんだと思います。
阿諏訪 それで満足していただけるならいいんですけど。
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也
ピクトアップ#86の「芸人、かく語りき」では、お二人のポートレイトと「芸人の覚悟」を伝えるインタビューを掲載!