芸人、かく語りき
vol.4 うしろシティ後編

本誌で連載中、実力派芸人を紹介するコーナー「芸人、かく語りき」。うしろシティのお二人、阿諏訪泰義さんと金子学さんのインタビュー、その後編です。

   

ushiro-city
それぞれ別のコンビを組んでいた阿諏訪泰義と金子学によって09年結成。単行本『うしろシティ 料理男子と裁縫男子』(講談社)が発売中。

asuwa taigi(右)
83年神奈川県出身。料理が得意。今までで一番うれしい仕事は『キングオブコント20 12』。「決勝決まったとき、泣いちゃいましたもん」。

kaneko manabu(左)
81年新潟県出身。裁縫を得意とする。うれしいのは「情報番組のレポーターをやって、テレビで観たことのある人が僕らを面白いっていってくれるとき」。

アイドル的人気? 使えるものはなんでも使う。でも戸惑いもあります。

うしろシティ


──自信のあるネタは?
阿諏訪 ここ1、2年やっている、僕がヤバいヤツを演じるネタ全般。僕自身から生まれた役だから演じるのもラクなんです。
金子 阿諏訪がこういう人だし、僕も失礼なことを平気で言うタイプ。そういう組み合わせの悪さからくる面白さはいままでもやってきてたんです。たとえば街なかでその辺のおじさんを見て、この人とあの人を組み合わせてみたらかわいそうだろうな、とかイメージを膨らませる。それを自分たちに置き換えてみた。阿諏訪がイタい人を演じる一連のシリーズは、初めて僕たち自身が登場人物になったコントです。二人の素が出ているという意味では、漫才みたいな感覚かな。
阿諏訪 そうそう。
──若手芸人さんの中でも、お二人は「アイドル的人気がある」と評価されていますが、ご自身はどう捉えていますか?
阿諏訪 アイドル的なと言われれば、実際そういうことをしているので、「そんなことないですよ」って言うのは逆にサムい。だってそういうことをしてこないで、全く売れなかったわけですから。使えるものは全部使わないと。
──金子さんは?
金子 (大げさに謙遜する風に)「そんなことないですよ」
阿諏訪 すべってるわー(笑)。
金子 いや、どんな受け取り方をしてもらっても全然いいんですけど、自分が誰かのファンになったことがないので、ピンと来ない部分があるんですよ。
阿諏訪 そうだね。
金子 いつも来てくれるお客さんはありがたいんですけど、楽しいのかな? って不安もあるんです。二日連続で同じネタとかのときもあるし。
阿諏訪 それはめっちゃ思う。昨日と一緒だけどな、って(笑)。サインも、こないだ書いたやつの次のページを差し出されて「サイン、変わらないけどな……」って思うこともあります。めちゃくちゃありがたいんですけどね。
──ネタは生ものだから、ちょっとした差異が面白いんだと思います。
阿諏訪 それで満足していただけるならいいんですけど。

[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ#86の「芸人、かく語りき」では、お二人のポートレイトと「芸人の覚悟」を伝えるインタビューを掲載!


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