賞レースに出なくなった理由と、立つべき場所
ナイツ
──2011年の「THE MANZAI」を最後に、いわゆる賞レースというものに出なくなったのには理由があるんでしょうか?
塙 出たい理由と出たくない理由を箇条書きにして、出たくない方が多かった。いや、出たくないというわけじゃないですけど、面白いネタが2本なかったりとかね。「THE MANZAI」は「M-1グランプリ」にあった芸歴10年以内という縛りがないんです。僕らがかつてM-1に出られたのは、その縛りがあったから。だからすでにそこそこ面白いと分かっている人は、そんなに出なくてもいいんじゃないかなと個人的には思うんですよね。そしたらもっと面白い漫才師がいっぱい出られると思うんですよ。いつになったらトレンディエンジェルが評価されるんだ!
土屋 そっちが観たいでしょ。みんなトレンディエンジェルが観たいでしょ、やっぱり。
塙 僕イチ押しのトレンディエンジェルが。トレンディエンジェルと三四郎との決勝がこっちは観たいわけじゃないですか。
土屋 ねえ。
塙 それが当たり前でいいじゃないですか。でも、決勝に行けないんですよ。
土屋 芸歴10年以内の縛りがあったら三四郎も決勝に行けたでしょうね。
塙 絶対行ってますよ。三四郎なんかもう、優勝候補と言われちゃうかもしれないですよ、わかんないですけど(笑)。
──だからこそ2012年にナイツさんが出場しなかったとき、カッコいいと思ったんです。
塙 いえいえ、勝ち逃げですよ。
土屋 カッコよくはない(笑)。
塙 M-1のときは、決勝戦でウケなかったんです。NON STYLEとかスリムクラブ、2009年のパンクブーブーさんとかに完全にウケの量で負けてたんですよね。だから決勝の場で超ウケるというのが一度やってみたかったんです。2011年のTHE MANZAIでけっこうウケたから、それで満足しました。
──結果、ナイツさんは若手芸人の中でも独自の立ち位置をずっとキープしていますね。
塙 テレビに出始めたころ、ビートたけしさんに「漫才協会なんだろ、ずっと漫才やった方がいいよ」って言われたんです。ほかにもピンでテレビで活躍している人たちが、「ずっとネタをつくって舞台に立って漫才をやる方がいい」と言ってくださる。そういう人たちが言うんなら間違いないんじゃないかと思うんです。
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也
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