芸人、かく語りき
vol.7 日本エレキテル連合 前編

本誌で連載中、実力派芸人を紹介するコーナー「芸人、かく語りき」。「ダメよ〜、ダメダメ」の連呼でお茶の間にディープインパクトを振りまく中野聡子さん、橋本小雪さんのおふたりが登場です!

   

nippon elekitel rengou
お笑い養成所で出会った中野聡子と橋本小雪により07年結成。YouTubeチャンネル感電パラレルにて毎日ネタや企画を更新中。
nakano sohko(右)
83年愛媛県生まれ。ネタと衣装、メイク全てを担当(取材時の橋本の衣装プロデュースも)。
hashimoto koyuki(左)
84年兵庫県生まれ。中野の世話を担当。「未亡人朱美ちゃん3号」で放つ「ダメよ~、ダメダメ」のセリフが世間に浸透。

生き方が地味だったから、憧れが飛躍する

日本エレキテル連合


──お互いの好きなところはどこですか?
中野 私は、橋本さんの何もない空っぽなところ。まあ私が、アイデンティティとか育ってきたすべてを抜いたんですけど。この人はキャンバスの状態で、私色に染められる素材なんですよね。
──橋本さんはそれでもよいと思って中野さんとコンビを組んでいるわけですよね。
橋本 はい、よいです。
──橋本さんは、中野さんの好きなところは?
橋本 相方はもう、頭の中がすごい。才能のかたまりだと思っています。だから私は、いじられたりいろいろ言われても、この人が言うことを表現できたらと思うんです。どのネタも「どうやってこの設定思いつくんだろ?」ってびっくりします。最初からメイクも衣装もすべてが頭の中でできあがってるんです。新ネタをやるとき、中野さんにメイクされた顔を鏡で見るたびに「うわ、こんななってるの!?」って驚きがある。まだまだ可能性があると思います。
中野 ……この人にとって私はビジネスパートナーなんですよ。ネタのところをほめてるだけ。私はこんなに愛してるのに。
橋本 いや、そんなことないよ(笑)!
中野 ネタをつくらないといけないライブが近くなると優しくなるんです。私が橋本さんを支配しているように見えて、こっちが転がされてるんですよ。
──(笑)。中野さんはどんなところからネタを発想するんですか?
中野 いろんな方法があります。まずこの衣装が着たいというところから始まるもの。それから、私は妻になったことがいちどもないので妻になってみたい、愛人にタンカをきってみたいとか。女性なのでいろんなことがしたいんです。そういうところからはじまります。
──本当に衣装が大事なんですね。そして自分の欲望をネタにする。
中野 衣装と設定ですね。ずっと生き方が地味だったので、自分にない要素をもった人たちに憧れがあって。ヤンキーになったことがないからヤンキーの設定を書くとか。
橋本 愛人とかね。
──お二人のコントはシリーズ化することもありますよね?
中野 そのコントをするときにメイクしながら二人で遊びで掛け合いをやるんです。たとえばケンとクミというヤンキーのキャラクターだったら「われぇ、働きに行きや! 腹におんねん、あんたの子が」とか仕掛けるんですよ。
橋本 「俺の子ちゃうやろ」
中野 「最低やな」とか遊びで続けていくうちに次の展開が生まれたり。最初は真剣につくって、あとは遊び。だからひとつキャラができるとラクなんです。

[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ#88の「芸人、かく語りき」では、お二人のポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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