グランプリを獲得した作品は長編化の支援を受けられる
「未完成映画予告編大賞MI-CAN」。
その第2回でグランプリを獲得し、長編映画化された『猿楽町で会いましょう』。
主演をつとめるのは金子大地と、
予告編で女優デビューを果たした石川瑠華。
ふたりはいかに小山田とユカを演じたのか。
──今作は昨年公開の予定が延期になりました。一昨年の撮影ですが、脚本を読んだ印象はまだ残っていますか? 記憶の彼方ですか?
石川「印象に残っているところもありますし、記憶の彼方のところもあります」
金子「僕はまず(「未完成映画予告編大賞で受賞した)予告編を観て引き込まれましたし、『この女優さんは誰だろう?』と石川さんのことが印象に残りました。次に台本を読ませていただき、面白い、ぜひ演じたいと思いました」
──小山田とユカというキャラクターの印象はどうでしたか?
金子「小山田はカメラマンとして未熟で、純粋で、自信がなくて、余裕がない青年なんです。そういう未完成さを痛感することは、僕にもあったので、演じる上で自分の見せたくない部分を前面に出していけばいいのではないかと思いました。それはクランクイン前に監督の児山(隆)さんからも言われていたので、意識していました」
石川「上京していることだったり、自分とユカの年齢や置かれている状況が近かったので、共感できるところはありました。ただ、ユカの行動だけを追って台本を読んだときに、すごく嫌なことをしている印象があったんです。だから、観ている人が共感できるのかな、嫌いになっちゃうんじゃないかと思いました」
──役を客観的にとらえていたのですか?
石川「全然できなかったです。最初は拒絶ぐらいの感じでした。だから、役を理解しようとは思いました」
──おふたりとも、見せたくない部分や見たくない部分があるところを持ったキャラクターを演じたわけですが、演じていてつらいものですか?
金子「僕は楽しかったです。監督からは割とやりたいようにやらせていただけたので。不安なところは全部監督に聞いて演じていました」
石川「楽しいところはすごく楽しかったです。でも、きついところはそれなりにきつかったですね。めちゃくちゃ楽しいか、辛いかでした(笑)」
それぞれの役との距離感
──共演されて、互いにどのような印象を持ちましたか?
金子「石川さんは、いままで出会ったことのない女優さんだなと思いました。お芝居に余白があるというか、そこがユカを演じられた理由のひとつだと思います。何を考えているか分からないところだったり、そこが魅力的なんだなと感じました」
──石川さんとユカの距離感はどう思いましたか?
金子「演じているときと普段の石川さんの距離感は遠いと思います。でも雰囲気だったり、リンクする部分はあると思うんです。この役は石川さんしか演じられないと思いましたし、こんなことを言ったら失礼かもしれないですが、本当にユカがそこにいると思いましたね」
石川「それ、金子さん、いろんなところで言ってくれていますからね(笑)」
金子「(笑)」
石川「『失礼かもしれないですけど……』と前置きしてから、言うんです。うれしいですけど(笑)」
──では、重なるところがあったんですね?
石川「ありましたね。でも、わたしはそういう風に現場でいたかったし、どうせ(素も)ユカっぽいと思われているんだろうなと意識しながらも、『でも、いいや』と思って演じました」
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