金子大地さん×石川瑠華さん

 


──演じ手はキャラクターと同一視されることを嫌がる方が多い印象です。
金子「そうだと思います」
石川「わたしも嫌でしたけど、いまは飲み込めるようになりました」
金子「むしろ、すごいほめ言葉ですよね」
石川「そう思いました。この役はそう思ってもらえることがうれしいです」
──なぜ変わったのですか?
石川「いまはユカが好きですし、人間として尊敬があります。いまの自分にはないエネルギーだったりを彼女が持っているから」
──石川さんから見て、金子さんはいかがですか?

金子さん 石川「本当に頼もしくて、頼りがいがあるんです。私が何をやっても反応してくれる、受け止めてくれる。俳優のタイプとしては、真逆だと思うんです。にも関わらず、ただひとつ通じるあえるところがあって、それができたのがこの映画だったんだなと。役を通して通じあえている感じはありました」
金子「ここまで濃密な役だからこそ、二人が通じていないとできないよね」
石川「そうですね。最初はわたしが緊張し過ぎて、何を話せばいいんだろう?となっちゃって。『暑いね』ぐらいしか言えなくて」
金子「目を合わせてくれなかった(笑)」
石川「でも、いいシーンができたらちょっと仲良くなる、みたいな感覚でした」
金子「あったね」
──いま演じたら、別の演じ方になっていると思いますか?
金子「そうだと思います。ユカという役に対して葛藤を持ちながら演じた石川さんと、なにものでもないという未完成な自分を痛感していた僕だからこそ、こういったみずみずしくも、生々しい恋愛映画になったんだと思うので」

成長を感じるときとは?
──この2年間で、成長や手応えを感じますか?
金子「特にないですね。周りに才能のある人がたくさんいますし、『すごいな、自分はまだまだだ』と作品ごとに感じます。でも、挑戦し続けることが大切だと思っています。『猿楽町で会いましょう』の撮影の後、初めて舞台を経験したんです。新しい経験をすることで、自分が見えてくるところがあって、本当にひとつひとつの作品で頑張らなければ!と思いますね」

石川さん 石川「意外です。そうは見えなかったので」
金子「自信があるように見えてた?」
石川「そうそう。すごいぴんとしてるから」
金子「そんなことないよ(笑)」
──石川さんは、手応えを感じるときはありますか?
石川「完成した作品を観たときです。画面に写ってる自分が演じている役を観て、『この人すごいな』と思ったときに手応えを感じます」
──初めて観るときに、そう思えるんですか?
石川「最初に『猿楽町で会いましょう』を観たときは無理だったんですけど、そう思えるときもあります」
金子「作品を終えたら、スクリーンに映っているのはもう自分じゃないってこと?」
石川「自分じゃない。もう遠い世界の人」
金子「すごい」
石川「自分にないぐらいのエネルギーを、役から感じるときがあるんです」
金子「僕はやっぱり自分を通した役として観てしまうから、全然違うな」

2021.6.1
[photo]久田路 [kaneko's styling]千葉潤也 [kaneko's hair&make]Taro Yoshida(W)
[ishikawa's styling]岩渕真希 [ishikawa's hair&make]堀川知佳 [text]浅川達也
[金子衣裳協力]
ジャケット¥59000、パンツ¥46000(ともにkenichi.)、 シューズ¥43000/APOCRYPHA.(ともにSakas PR 03-6447-2762)
[石川衣裳協力]
ワンピース¥28600/AVIE(・アネンサール 渋谷区恵比寿3-33-7 03-6786-9267)


kaneko daichi
96年北海道生まれ。アミューズオーディションフェス2014にて俳優・モデル部門を受賞しデビュー。近作に『君が世界のはじまり』(20)、『バイプレイヤーズ ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』(21)などがある。待機作に映画『サマーフィルムにのって』(8月6日公開)、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(9月10日公開)、22年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がある。

ishikawa ruka
97年埼玉県生まれ。17年から女優としての活動を開始。映画、ドラマ、MVなどで活躍。近作に『イソップの思うツボ』『ビート・パー・MIZU』『左様なら』(すべて19)、ドラマ『13』(20)、舞台「二兎社特別企画 ドラマリーディング3「振り返る人たち」(21)などがある。待機作に主演作『うみべの女の子』(8月20日公開)がある。


猿楽町で会いましょう
監督/児山隆 出演/金子大地 石川瑠華 栁俊太郎 小西桜子 前野健太 ほか 配給/ラビットハウス (19/日本/121min)
鳴かず飛ばずのフォトグラファー、小山田は読者モデルのユカと出会う。しだいに距離を縮めていくふたりだが、ユカが小山田に体を許すことは決してなかった。そんな中、小山田が撮った彼女の写真が、ふたりの運命を大きく変えることになる……。6/4~渋谷ホワイトシネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
©2019オフィスクレッシェンド

映画『猿楽町で会いましょう』オフィシャルサイト

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