芸人、かく語りき
vol.16 鳥居みゆき 後編

本誌掲載の「芸人、かく語りき」と読み合わせると2倍楽しいWEBオリジナル記事。鳥居さんのイメチェンがもうすぐ始まる!?

   

torii miyuki
秋田県生まれ。テレビでの活躍の傍ら、舞台への出演も多い。『じゃじゃ馬ならし』(江本純子演出)では主演のケイトを務めた。14年からはラブ守永らと4人組コントユニット「ブ江ノスアイレス」としての活動もスタート。

需要と供給のバランスを崩したい

鳥居みゆき


──鳥居さんはいま、芸人としての活動全体についてはどう考えていますか?
「私の趣味である単独ライブのために費やせるお金稼ぎ(笑)」
──とにかく単独ライブが軸にあるんですね。
「そうですね。そのための教養とか知識を身につけるためにも、人と触れ合うのも必要だなって最近は思ってきてる。ずっとひとりだったらつくれないですもんね。視野を広げていかないと」
──舞台にもコンスタントに出演されていますね。
「楽しいです。自分が書いたものじゃない作品を演じる、いちプレイヤーになるっていうのは。自分が書いてないから、書いた人の気持ちが想像ができない。それが少しずつわかっていけるのがすごく面白い。いまやっているシェイクスピアの舞台(『じゃじゃ馬ならし』)の稽古も本当にわけがわかんないんですよ。シェイクスピアの気持ちにはなれないけれど、演出家の求めているものはちょっとずつわかるようになってきて、それは楽しいなと思う。普段しない動きも身につくし」
──それもやっぱり単独に……。
「活かせるかなって。いろんな人の演出を見るために舞台に出てるってところもあります。結局自分勝手な生き物なので、どう折り合いをつけるかっていうと今後利用しようって気持ちしかない。いっぱい吸収してライブに活かせたらなーと思います」
──次の単独ライブの構想がもしあれば少し教えてください。
「先日、きたろうさんに『こうやってカッチリかっこいいものをつくっていると、つくりこまないカッコよさに憧れる時期が来るよ』って言われたんです。『そう思ったときにはつくりこまない方をやればいいけど、必ずここに戻ってくるよ。結局自分が最初に思った“カッコいい”が“カッコいい”だから』って。確かに私、いまちょっとこれまでのスタイルに飽きてきてるんですよ。ラフなカッコよさに興味がある。さすがだなって思いました。きたろうさんとは昔から知り合いで、すごくよくしてくださるんです」
──じゃあ今後ラフな方向に変わる可能性もあるんですね。
「うん。でもきたろうさんの言う通り、結局戻るかもしれないけど。いまは需要と供給がぴったり合ってる気がするんですよ。お客さんにはダークな世界を求められている……“鳥居ワールド”とか簡単に言えちゃう感じ(笑)。いつでも血が出て臓器が出てグロくて、それでちょっと社会をいじって、と思われているはず。それを壊したいです。そう思い通りにいかせたくないなって思います。ふふふ」

[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ#92の「芸人、かく語りき」では、鳥居さんのポートレイトと彼女ならではの芸人道をお聞きしたインタビューを掲載!


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