芸人、かく語りき
vol.23 バカリズム 前編

98号の「芸人、かく語りき 」に登場いただいたバカリズム。WEB版では、旬な芸人であり続けるための、特殊な鍛え方をお聞きしました……。

   

bakarhythm
75年福岡県生まれ。本名、升野英知。日本映画学校(現・日本映画大学)在学中にコンビを組んでデビュー。解散後はコンビ時代と変わらずバカリズム名義のまま、ピン芸人として活躍。多数のテレビ番組に出演するかたわら、12年『世にも奇妙な物語』シリーズの1本を書き下ろしたのをきっかけに、ドラマの脚本家としても活動。
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単独ライブを続ける理由

バカリズム


「(ピクトアップ97号をめくりながら、「芸人、かく語りき」ページで手を止めて)あ、バイきんぐ。僕、小峠さんと地元が一緒なんですよ」
──福岡県ですか?
「はい、市まで一緒で。なんなら親同士が面識あるくらいです」
──そうなんですか! 知りませんでした。
「バイきんぐがまだキングオブコントで優勝する前、母親から僕に電話があったんですよ。『小峠さんという方が、息子さんが東京でお笑いをやっているんだけど全然売れていなくて、最近連絡が取れないって言ってた』って。『バイきんぐって知ってる?』って聞かれて、当時は『知らない』って答えたんですけど」
──キングオブコントの前ですもんね(笑)。
「『もし会ったら相談とかのってあげて』って言われていたんです。その後にキングオブコントを観て『これがバイきんぐか』って思いました」
──ああ、よかった。
「よかったです」
──では、バカリズムさんのお話に戻します(笑)。バカリズムさんはテレビでの活躍の合間も、ずっと途切れることなくライブをなさっていますね。
「でも、同世代の人たちみんなライブやってますから、全然僕だけじゃないです。本当は年2、3回くらいのペースでやりたいんですけど」
──それは、やはり楽しいからですか?
「(力を込めて)まっっったく楽しくないです! 1秒も楽しくない、苦痛でしかない」
──そんな大変なことをなぜ……。
「単独ライブがあるから、テレビにも出させてもらえると思うんですよ。そこで考えたことや生まれたことがテレビとかいろんなところで生きてくる」
──楽しくはないけど、やらなければいけない。
「そうですね、やらないといけないことですよね。やらないと、どんどん古くなる」
──自分のネタをつくり続けていくことが、古くならないことにつながるわけですか?
「昔のライブの映像とかを観ると、全然古いんですよ。自分で観ていてそう思う。それは、ちゃんとやり続けているからそう思える、いいことだと感じています。そのためにやる。毎年、去年よりも更新していかなきゃいけない」
──たとえば『ウレロ☆』シリーズの舞台など、「人前に出る」という機会は少なくないと思いますが、ライブをやるということの重要な点はそこではなくて、やっぱりネタづくりの部分なんですね?
「そうですね、『笑い声を直接浴びる感覚がどうの~』っていうのじゃないです」
──そこは別に……。
「どうだっていい」
──(笑)。
「もちろん、チケット代を払って来てくださっているお客さんに、ちゃんと満足してもらうっていう目的もちゃんとあるんですけど」
──そこもあるけれど、やっぱり自分の。
「そうです、自分自身の問題ですね」

2015.12.23
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ98号の「芸人、かく語りき」では、ポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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