芸人、かく語りき
vol.25 TKO 前編

99号「芸人、かく語りき 」にはTKOの木本武宏さんと木下隆行さんが登場。木本さんが木下さんを「ダラダラと会ってしまう女」とたとえる真意とは……?

   

TKO
中学からの友人同士でコンビを組み、90年松竹芸能に所属。
kimoto takehiro(中央)
71年大阪府生まれ。東洋経済オンラインでTKO木本の「基礎から知りたい」を連載中。『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』に出演中。
kinoshita takayuki(移動)
72年大阪府生まれ。『半沢直樹』などのドラマで活躍。『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』に出演中。

おっさんになったからできること

TKO


──TKOのおふたりは芸歴25年という長いキャリアを持ちながら、いまもキングオブコント(以下、KOC)への挑戦を続けてらっしゃいますね。やはりそれだけ芸歴を重ねていらっしゃると、数年目の若手芸人とは違う視点で大会をご覧になっていると思うのですが……。
木本 よくそう言われますけど、でも僕ら、ちょっとイタいとこあって、若手と変わりない気持ちなんですよ。本当2、3年目の若手ともおんなじ感じでしゃべってるし。
木下 KOCも、M-1グランプリみたいに芸歴で制限してほしいんですよ。そしたら、出んでええようになるから。
木本 出ない理由がないんですよ、いま、僕ら。向こうから来るなって言ってほしい。
木下 そう、ダラダラと会ってしまう女みたいな感じ。
木本 何回もエッチしてんのに……(笑)。
木下 でもいまはまだ、中途半端ですから。やっぱりチャンピオンになって、いちばんいい形で終わるしかないと思う。……なんかね、若い頃求めてたコントの理想像があって、そこへ行けたかな? という楽しい時期があったんです。でもその後には谷が控えてた。で、いままた楽しい。それは、ちょっとおっさんになってきたからやと思うんです。たとえば自転車にぶつかるっていう状況ひとつとっても、若者よりおっさんの方が面白いと思うんですよ。ヒヤヒヤするけどわろてまう、みたいな。しかも、若者がヅラかぶっておっさんのふりするより、本当のおっさんが演じるほうが断然情けなくて面白い。自分らもその面白さが出る歳になってきた。
──それは、若い頃には気づきにくい部分かもしれないですね。
木本 木下のこのキャラクターがあるからこそ、形にしづらいはずの、おっさんのニュアンスの面白さがより伝えられる。「ぬいぐるみがしゃべるファンタジーはかわいいけど、実際にいてたらこわいやん」みたいなことって、この風体でやってこそ面白いんですよね。
木下 だからこそ、アンテナは若くしとかなあかんって気をつけてます。他ジャンルの若者と遊んだり。
木本 僕も若者が読むようなマンガとか読んでます。しがみついてるのかもしれないですけど、それでも、やっぱり芸人として面白いネタをつくり続けたい。ずっと芸人というものに憧れてるんですよ。自分の思ってる芸人像があって、それを追いかけ続けてる。
──そのとき、やっぱり相手は木下さん以外には考えられないわけですね。
木本 そうですね、木下がやめると言うたらやめるんでしょうし。いまだに面白いんですよ。あ、そうそう、「飽きない」ですわ。この女、何回抱いても飽きないんです(笑)。

2016.2.18
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ99号の「芸人、かく語りき」では、ポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


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