芸人、かく語りき
vol.21 バイきんぐ 前編

#97の「芸人、かく語りき」にはバイきんぐの小峠英二さん、西村瑞樹さんが、本連載第1回目以来、ふたたびの登場! キングオブコントを振り返ります。

   

viking
96年結成。12年、キングオブコントで優勝。
kotouge eiji(右)
76年福岡県出身。サンプラザ中野くんとのユニット・坊坊主でアルバム「励ます」を発売。
nishimura mizuki(左)
77年広島県出身。バラエティ番組出演をきっかけに、小型船舶1級免許を獲得。
SMA NEET ProjectのHP

ひとつも変える必要のない、完璧なネタ

バイきんぐ


──今年もキングオブコント(KOC)の決勝進出者が決定しましたね(取材は決勝戦前)。
小峠 そうですね。昔に比べるとライブシーンに疎くなりましたけど、THE MANZAIやR−1とかの賞レースの決勝はもちろん観ています。なかでもKOCは捉え方が違いますね。いちばん楽しみですし、やっぱ毎年思い出しますね、この時期になると。
──優勝されたときのことを。
小峠 はい。当時の、決勝前の生活を思い出しますよ。バイトやって、ライブ出て。
──本当にものすごい数、ライブに出てらっしゃいましたよね。
西村 そうですね。
小峠 ライブに出てはスベったとこ削って、また新しいのを入れて。それがいまいちだったらまた削って、ほかに何かないか、もっとないか、って……。あの、ネタに対してギラギラしていたときのことを思い出します。
──思い出して、どう感じるんですか?
小峠 いや、「懐かしいなあ」くらいの感じです。たぶんもう一生、あんなにもネタに対してギラつくことはないだろうから。
──優勝した頃に、小峠さんが「初めての決勝進出で優勝できたから楽だった」とおっしゃっていたことが印象に残っています。「それまでの10数年間かけてベストのネタを2本つくればよかったから」と。毎年出ていたら、毎年ベストなネタをつくらなければいけない。
小峠 それはほんっとにいまでも思います。
西村 (うなずく)
──その、ギラギラしていた頃のネタって特別ですか?
小峠 やっぱり別格ですよ。だってもう、変えるところひとつもないですもん。
──完成されている。
小峠 『エース』『ジャック』『クィーン』と単独ライブやりましたけど、このなかのネタはいっぱい変えるところがある。でもKOCでやったネタに関しては、ないです。
──逆に伸びる余地があるってことでもありますよね。西村さんはその頃のこと、思い出しますか?
西村 すごく思い出しますね。ちょうど決勝の3日くらい前にお金がなくて、バイト先の大学生5人からひとり100円ずつ借りて、そのお金で電車に乗って帰ってたこととか。
──思い出してどういう気持ちに?
西村 いや、ひどかったなあ、って(笑)。

2015.10.17
[text]釣木文恵 [photo]相澤心也


ピクトアップ#97の「芸人、かく語りき」では、おふたりのポートレイトとオリジナルなスタンスを伝えるインタビューを掲載!


バイきんぐ[2013年]前編◁ │ マツモトクラブ 後編◁ │ ▷バイきんぐ 後編